シンプルノート 金沢北スタジオ

ローコスト住宅が結果的に割高になる理由

資材価格の高騰によってコロナ前に比べてずいぶんと建築費が上がってしまったのですが、それに加えて住宅性能の更なる強化や太陽光発電の設置、さらにインスタグラムの影響による商品のグレードアップなどによって銀行からの借入額がどんどん増えていっているのが現実です。

もちろん、住宅性能の強化と太陽光発電の設置は、長期的に見ると上がった建築費を打ち消すどころかお釣りが帰ってくるぐらい電気料金というランニングコストを削減してくれるのですが、とはいえ、目先だけで考えると返済負担は増えてしまうので少しでも家づくりにかかるイニシャルコスト(初期費用)を抑えるための工夫をしなければいけません。

なので、今回は家づくりにかかるコストを落とすための方法についてお伝えしていきたいと思います。

コストカットを実現するためには、建築費を削減するだけでは難しく土地と外構(庭の工事)にかかるコストをも削減する必要があるのですが、ここで難しいのがローコスト住宅の考え方に寄ってしまうと建築費は幾分抑えられるものの、その分土地や外構に莫大なコストが必要となり総額で考えるとかえって高い買い物をする結果になってしまうということです。

ローコスト住宅の盲点

ローコスト住宅とは、家のコストを最小限にするために施工面積が抑えられるような間取りの工夫をしているお家です。

家を真四角にするとか、総二階建てにするとか(1階と2階の面積が同じ家)、凸凹にならないよう間取りをつくるといった工夫ですね。

この結果、確かに家のコストは大なり小なり抑えることが出来ます。

しかし、こういった要素を取り入れたお家に共通していることが「家の外周面だけにしか窓がつけられない」ということなのですが、これが土地や外構にかかるコストを大幅に跳ね上げてしまう原因となります。

土地代が高くなる理由は、基本、日当たりがいい土地じゃないと家の中が真っ暗になってしまうため、価格が最も割高に設定されている南向きの土地を買わないといけなくなるか、あるいは南向き以外の土地である場合、隣家との間に充分なスペースを確保しないといけないのでその分、余分に土地を買わないといけなくなるからです。

そしてこの結果、外構工事までも高くなってしまいます。

南向きの土地に南向きに大きな窓をつくってしまうと、外から家の中が丸見えになるため、目隠しや塀や植栽によって防がないといけなくなるからです。

また、丸見えの位置につくったウッドデッキを有効活用出来るようにするためには、ウッドデッキにまでも目隠しを設置しないといけなくなるからです。

その上、家の窓には目隠しのためのカーテンが必要になるし、防犯のことや、台風の時に備えてシャッターも必要になるので、相当なオプション追加工事がかかってしまいますしね。

つまり、南向きの土地は土地代が割高になるだけじゃなく、同時に外構工事代も割高になり、かつ、割安に抑えられたはずの建築代までも結果的に割高になる。

結果、家づくりのコストが最も上がってしまうというわけです。

これが案外知られていない家づくりの盲点なのですが、みんなそろって日当たりがいい南向きの土地を探そうとする結果、南向きの土地に人気が集中しなかなか土地が見つからなくなるし、見つかったとしても値引きなんてしてもらえないし、すぐに売れてしまうことから即決を迫られることになり、家づくりのペースが乱されてしまうという更なるデメリットを引き起こしかねません。

こういった悪い循環から抜け出していただくために正しい間取りのつくり方について知っていただきたいと思っている次第です。

というわけで次回は設計の考え方について詳しくお伝えしていきたいと思います。

それでは

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