
「収納は多いに越したことはない」
収納が足りず部屋に物が溢れている状態を想像すると、あっさりこういう結論に至ってしまうのですが、収納を多くつくれば建築コストも上がってしまうため(家の面積が大きくなるから)単純にたくさんつくればいいというわけではありません。
また、人は「隙間があればそこを埋めたくなる」という習性を持っているため、たとえ収納をたくさんつくったとてその余白に合わせて物を増やしてしまう可能性が高いことから収納のつくり過ぎにも注意した方がいいかもしれません。
「物が増える」ということは「無駄遣いをしている」可能性が高いということでもありますしね。
というわけで今回は、「収納」に対する弊社の考え方についてお伝えしていきたいと思います。
これを覚えていただくと不用意にコストを上げることなく充分な収納量を備えたお家を建てやすくなると思うので、知識アップのために最後までお付き合いください。
床ではなく壁で考える
その収納にどれだけの物を納めることが出来るかは、床の多さというよりも壁の多さに大きく依存します。
例えば、2帖という収納は1m69cm×1m69cmという広さですが、この収納は壁をどう使うかによって収納の分量が違ってきます。
全部で4面ある壁のうち2面しか使えないように入口をつくった場合、1.69m×2面=3.38mが棚1段あたりに置ける分量ですが、これを3面使えるように入口をつくった場合、1.69m×3面=5.07mにまで棚1枚あたり置ける分量が増えますからね。
ゆえ、収納を考える時は、単純に広さだけを見るのではなくその壁をどれだけ有効活用出来そうなのかに着目していただければと思います。
それさえ出来るようになれば、ある程度正確に収納の容量が把握出来るようになるんじゃないかと思います。
回遊動線は落とし穴
そしてこの考え方を知っていただくと回遊動線(グルグル回れる通り抜け動線)がいかに収納に悪い影響を及ぼしやすいのかをご理解いただけると思います。
通り抜けられるということは、その通路に面した壁を全く使えなくなるということだからです。
先程の2帖の収納の場合で考えると、4面ある壁のうちたった1面しか使えなくなるということになりかねませんからね。
つまり1帖の収納と同じだけの容量しかないということです。2帖という広さは1帖という広さよりも30~40万円も多くコストがかかっているというのに、です。
そんなわけで回遊動線に関しても便利そうだというメリットだけに着目するのではなくその裏にこんなデメリットがあることもご理解いただければと思っています。
収納に限らず部屋にも壁が必要
さらにこの考え方は収納だけじゃなく部屋でも同じことが言えます。
4面ある部屋の壁のうち1面には入り口のドアがつくとしてもう1面にクローゼットをつくり残りの2面に窓をつくってしまったら、その部屋には全体を使える壁がなくなってしまうからです。
結果、物の配置が難しくなるし模様替えをする余地もなくなるしコンセントの位置もかなり限定されてしまいます。
なので、間取りを考える時いかに壁を多くつくるのかを弊社では意識しているというわけです。
壁が増えれば収納が安定するだけじゃなく耐震も良くなるし断熱効果も良くなりますしね。
もちろん、そのためには最小限の窓で採光と風通しを確保出来る間取りにしないといけないんですけどね。
というわけで、最後は少し話が脱線しましたが、とにかく収納は「床」ではなく「壁」が重要であることをぜひ知っておいてもらえたらと思います。
それでは