
建築コストを少しでも安く抑えなければならない状況に直面した時、パッと思い浮かぶのが使用する材料を変えたり材料のランクを落とすことです。
ですが、この方法は妥協した割にその期待に沿うような成果を得ることが出来ないことが多いです。
例えば、床材を無垢材から無垢材じゃないものに変更すればコストが下がると思われている方が多いと思いますが、多くの場合、期待の半分も下がらない上に、選ぶものによったらほとんどコストが変わらないなんてこともあったりします。
また、断熱材も同じレベルの性能を有しているものでも安価なものもあれば高価なものもあるのですが、コストを落とすために安価なものに変えた場合、見た目の数字はほとんど変わらないまま(高い性能値を維持したまま)コストだけが落ちるように思うものの、実際暮らし出してみると数字だけでは分からない「体感」が全然違ってきたりするのも事実です。
ですので、建築コストを削減したい場合、弊社では面積縮小を優先して考えることをオススメしています。
とはいえ、普通に考えると家を小さくするとなれば「収納足りないのでは?」とか、「使いにくくなるんじゃないか?」とか、「見窄らしくなるんじゃないか?」など様々な不安が頭をよぎりなかなか実行出来ないものです。
なので、その不安を少しでも払拭していただき、コスト削減をしていくために知っておいていただきたい考え方についてお伝えしていきたいと思います。
視点を変える
例えば、家の面積を縮小するという考え方ではなく、無くても問題ないスペースを削り結果的に家の面積が小さくなったという考え方。
家の面積を大きくしないためにまず出来るだけなくしたいものが「なくても問題ないスペース」です。
例えば「廊下」。
どんな家にしたいのかをお聞きさせていただく時に、「是が非でも廊下が欲しい!」とおっしゃる方はほとんどいません。
あなた自身も同じように「廊下は絶対必要だな」とは思っていないのではないでしょうか。
実際、廊下にも部屋や収納と同じように基礎・床・壁・天井・屋根があるので同じだけコストがかかっています。
絶対に欲しいと思っていないのであれば、ただ通るだけの機能しか有していないこのスペースに部屋や収納と同じだけのお金を払うのはなんだか勿体無いですよね。
廊下があることによって室内ドアの本数が増え、(1本あたり6~7万円します)その分さらにコストアップします。
しかも廊下に出来る空気層がいわゆる断熱材の代わりとなり冷暖房の道を塞いでしまうことでせっかくの高性能住宅の良さを帳消しにしてしまいますしね。
(高性能住宅の真骨頂は、冷暖房の空気を家全体にムラなく行き届かせて温度差を限りなくなくすことです)
以上のような理由からまずカットすべきは「廊下」だと考えています。
廊下をなくす最良の手段
弊社では、廊下を無くしてコストカットをするための最良の手段として「平屋」をおすすめしています。
2階建てにし2階部分に部屋を多くとればとるほどその部屋に行くための通路が必要となります。
また2階建てになると「廊下」の仲間である「階段」が必要になりますが、階段は廊下以上にコストがかかるし、階段があることによって上下階に温度差が生じるため、快適な暮らしを実現するためには、大きなコストを払うことによって上下階の空気を循環させる空調システムなどを導入せざるを得なくなったりしますからね。
というわけなので、まずは「平屋」を基本に考え「階段」をなくしながら出来るだけ「廊下」をゼロに近づけること。
これを覚えておいていただければと思います。
では次回は、面積縮小の鍵を握る2つ目の項目である「部屋の数」について言及していきたいと思います。
それでは