シンプルノート 金沢北スタジオ

2種類の光

光には「直射光」と「天空光」があり、多くの方が基本「直射光」だけで採光計画を考えようとしてしまうのですが、どんな天気の日でも安定した明るさを室内に届けるためには、「天空光」をふんだんに取り入れる必要があります。

理由は、大気層を通過して直接地上に届く「直射光」は、熱が高く、明るく眩しい上、天候に大きく左右されるからです。

明るく眩し過ぎるとなると、また家の中に熱が入り過ぎるとなると、それを遮るためにカーテンが必要になり、それによって光が遮断されてしまい採光計画が大きく崩れることになるし、直射光を主な採光手段にすれば、周囲から家の中が丸見えになることから、曇りや雨の日でもカーテンが開けられなくなり、よりいっそう暗い家になってしまいますしね。

というわけで、空気中の塵や水蒸気などで乱反射した光である「天空光」の存在を知っていただいた上で間取りの計画を立てることをオススメしています。

では、ここからは「直射光」だけに頼らない間取りづくりを実行していただくために必要な知識についてお伝えしていきたいと思います。

ちなみに「直射光」信者を脱却し、天空光をふんだんに取り入れた住まいづくりさえ出来れば、付けるのが当たり前だと思われているカーテンが必要なくなり、曇りの日はおろか、たとえ雨が降っているとしても、照明なしで過ごすことが出来るようになります。

間違った採光計画

建売住宅の広告を見ると、「全室南向き日当たり良好」という文言がよく入っているし、建売住宅に限らず注文住宅でもそのようなお家がたくさん建っていますが、まず考えていただきたいことが、「そもそも全ての居室を南向きでつくる必要があるのか?」ということです。

例えば、寝室。

この部屋は陽が沈んでから陽が上り始めるまでの間に使う部屋ではないでしょうか。

ゆえ、日当たりをそんなに重視する部屋ではありませんよね?

続いて子供部屋はいかがでしょうか。

デスクワークをする時を想像してみてください。

朝から夕方まで厳しい日差しが差し込んでくる所で集中して仕事が出来るでしょうか?

難しいですよね。

ということは、子供たちだってそんな所で集中して勉強なんて出来ませんよね。

そして、集中するためにきっと遮光カーテンを閉め切り、眩しい光線と熱い熱が入ってこないようにしつつ、照明で光の調整をすることになるでしょう。

この他、玄関や玄関ホール、そして廊下や階段スペースなども明るくはしたいものの、かといってそれが「直射光」である必要は全くありませんよね。

一方で「脱衣室」や「キッチン」などは、居住スペースを南向きでつくることで直射光が入ってきにくい場所に追いやられがちになっているのですが、本当にそれでいいのでしょうか?

光が差し込まない薄暗いキッチンで、天気の日なのに照明をつけながら料理をつくり、後片付けをする。

熱も入ってこなければ風通しも全然良くない寒くてジメジメとした脱衣室で着替えをし、洗濯物を干す。

こんな暮らしを手に入れたいなんて全く思いませんよね?

程よく日差しが差し込む明るく清々しいキッチンで料理をつくり、後片付けをしたいし、程よく日差しが差し込み、風通しも良い明るくカラッとした脱衣室で着替えをし、洗濯物を干したいですよね。

こうやって考えてみると「なるほど。確かにそうかも。」

と思っていただけたと思いますが、残念なことに多くの住まいがこのような設計にはなっていません。

もちろん、その理由は「直射光」だけで採光計画を立ててしまったからです。

では、どうすればいいのか?

というわけで、次からは「直射光」だけに頼らず、「天空光」をふんだんに利用した間取りの考え方についてお伝えしていきたいと思います。

それでは

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